Green&Circular 脱炭素ソリューション

コラム

最終更新:2022.08.01

脱炭素の正しい進め方と考え方

本サイト「Green & Circular」を最大限に活用いただくため、ここでは基本的な「脱炭素の進め方と考え方」を解説します。素早く手軽に、そして長期的に取り組めるよう、私たちはさまざまな角度からサポートいたします。

すべての産業で脱炭素が求められる時代になる

「脱炭素への取り組み」と聞くと、CO2排出の多い、エネルギーをたくさん使う産業の話と考えてしまいがちです。しかし、カーボンニュートラルの実現は簡単な目標ではなく、排出コストの転嫁も含めて考えれば、すべての産業、個人に及んでいきます。つまり、誰もが否応なしに取り組まなければいけない課題なのです。一方、技術的な制約や排出量の大小は産業ごとに違いがあるため、すべての業種が一律で同じ取り組みをおこなうのではなく、それぞれの特徴に合ったやり方が求められます。

規制前に取り組むことで企業価値が高まる

CO2排出量は従来、スコープ1&2と呼ばれる自社の排出のみが規制の対象とされてきました。しかしながら、近年は自社で排出されるCO2だけでなく、スコープ3と呼ばれる「原料調達・製造・物流・販売・廃棄」も含んだ「サプライチェーン排出量」や、それを製品別にまとめた「ライフサイクルアセスメント(LCA)」を公表することが、国際会計基準など民間の取り組みとして一般化しつつあります。また、政府側にもこうした公表を制度化する動きが見られます。その先には、産業ごとに情報開示に関する細かな規制やガイダンスが導入されるかもしれません。

つまり、将来を見据えると、ある日突然自社の製品やサービスが「高排出」と見なされ、市場価値を失うことが考えられるのです。脱炭素への取り組みの結果は、省エネレベルのものでも1~2年かかり、それ以上の時間が必要なことが多々あります。どのような業種であっても、規制が実施される前に先行して脱炭素化への取り組みをおこなうことで、今の時代に求められる強靭な企業体質になることができます。また、自らが関わるサプライチェーンの排出を把握することで産業構造の変化を先取りし、自社のサステナビリティを高めることで長期的に企業価値を高め、顧客や従業員、さらには投資家への信頼を向上させることができるでしょう。
出典:環境省ホームページ 

脱炭素への取り組みに最適な進め方とは?

脱炭素への取り組みを考えるとき、三井物産では排出状況の「可視化」→ 排出の「抑制・回収・吸収」→ さらなる削減に向けた「代替・変換・オフセット」というステップを推奨しています。そのほか、資源や製品を循環させて再利用していく「サーキュラー」という方法も念頭におきながら脱炭素への取り組みを設計すべきと考えています。

まずやるべきことは「可視化」です

自社やサプライチェーン全体でのCO2排出量を可視化・定量化することは、取り組みの第一歩です。そこを正確に把握できないと、適切な戦略を立てることができません。また、前述のように「サプライチェーン排出量」や「LCA」などライフサイクル全体での排出量を計測する動きが一般化しています。その際には、クライアントからCO2排出量を可視化した資料を求められることも増えてきます。さらには、調達先を選定する際に、環境負荷の低い部品や製品を優先的に調達する、いわゆる「グリーン調達」を推進する企業も増え始めています。その際に必要な書類を迅速に渡すことができるかは、ビジネスを進めるうえでも大きなポイントとなってきます。

環境負荷を減らす「抑制・回収・吸収」への取り組み

CO2排出量を可視化したら、これまでのやり方を見直してエネルギーの使用を「抑制」していきましょう。省エネと置き換えてもいいでしょう。その方法として、IOTやAIなどデジタル技術を活用しながらエネルギーを効率的に使っていく方法が挙げられます。無駄な生産をしないということもひとつです。その他、環境負荷の少ないエネルギー、原材料、製品に切り替えるというのも有効です。また、後述のサーキュラーのように資源や製品を「回収」して再利用することで、環境負荷を減らしていくといった方法があります。

それらと並行して、森林の保護・管理などを通じてCO2を「吸収」して「固定」する取り組みや、排ガスなどからCO2を分離させて「回収」し、CCS(二酸化炭素地下貯留)で地下に「固定」する取り組みなども有用です。

脱炭素化を飛躍させる「代替・変換・オフセット」

大規模な見直し策として、エネルギー源をよりCO2排出の少ないものに「代替・変換」する方法があります。もっともよく知られているものとして、EVなど化石燃料から電気エネルギーへの代替・変換、があります。その先の技術としては、水素エネルギーへの代替・変換、さらには微生物発酵エネルギーのような次世代燃料への代替・変換があります。それらは、産業や業種、地域などによって最適な手法を選択することが求められます。

しかし、上記のような努力をしてもCO2排出は残ってしまいます。その際は、何らかの形でCO2の量をオフセット(埋め合わせる)する必要があります。よく知られているのは、他の場所で削減されたCO2排出量をクレジットという形で購入するといった方法です。そのほかに、CO2を削減する活動への投資などがあります。

古くて新しい「サーキュラー」に注目すべき理由

これまで廃棄されていた原材料や製品などを資源と考え、リサイクル/リユースして循環させていく方法です。海外でも話題になった「もったいない」の考えの延長線にあり、日本人には古くから馴染みがあります。
紙や各種プラスチック、そして都市鉱山とも言われる貴金属の再利用は、すでに自然資本の節約に効果を発揮しています。今後は、レアメタルやレアアースなど、リサイクルされる資源は増えていくことでしょう。うまく循環させることで、海外の情勢に左右されにくく、価格や供給量が安定するというメリットがあります。なお、循環のためには「資源物を抽出・回収する技術」「回収ルートの確立」「十分なストック」という3点が必要となってきます。

将来を見据え、継続して取り組むことで成果が生まれる

気候変動問題の歴史を振り返ると、これまでにも7~10年の周期で浮き沈みがありました。そのような起伏があったとしても、脱炭素への取り組みは世界的に不可逆なものであり、前進すること=市場での競争力を高めることに違いはありません。
では、経営戦略的な成果はいつ現れるのか? そこを考えるには、技術コストの低下予想と、今後具体化される排出コストの関係値が交差する点を見ることが大事です。そのような視座を得るためにも、まずは成果の出やすいものから取り組み、継続しながら新しいことを積み重ね、国内外の最新情報にアンテナを張っていく。そのような地道な取り組みこそが、成果を生むための最短コースになることでしょう。
   監修:本郷 尚(三井物産戦略研究所シニア研究フェロー)

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