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コラム

最終更新:2024.05.28

SBTとは?用語の意味や取り組みのメリット、認定条件を解説!

SBTとは、Science Based Targetsの略で、企業が設定する「温室効果ガス排出削減目標」の指標のひとつとなる国際的なイニシアチブです。
この記事では、SBTの用語の意味、具体的な取り組み内容からSBT認定のメリットまで、詳しく解説します。

SBT(Science Based Targets)とは?

SBT(Science Based Targets)は、CDP、国連グローバルコンパクト(UNGC)、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)が共同で運営する国際的なイニシアチブで、「科学的根拠に基づいた(温室効果ガスの排出削減)目標」を意味しています。

2015年に締結されたパリ協定では、世界の196か国が参加し、「気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つともに、1.5℃に抑える努力をする」ことが取り決められました。これは一般に「2℃(1.5℃)目標」とよばれています。
2℃(1.5℃)目標を達成するために、地球温暖化の原因となっている温室効果ガス排出量を、具体的にどれだけ減らせばよいのでしょうか。SBTは企業に対し、科学的根拠に基づいて、5年~15年の中長期で温室効果ガスの削減目標と、目標を達成するための行動を求めています。

STBイニシアチブに加盟する企業は、SBTが定める認定基準を満たすように温室効果ガスの削減目標を設定し、これが認められれば、SBTの認定を受けることができます。

地球温暖化に関しては「地球温暖化とは?原因や仕組み、今後の対策をわかりやすく解説!」にてくわしく解説していますので、ご参考ください。

SBT認定を受けるメリットとは?企業が加盟する背景

世界中でSBTに加盟する企業は増加しており、日本でも2024年5月時点で1,166社がSBTに参加し、そのうち1,084社がSBT認定を受けています。
企業がSBT認定を受けるメリットはどこにあるのでしょうか。ここからは、企業がSBTイニシアチブに加盟する背景、認定されるメリットについてご紹介します。

環境保全に貢献できる

地球温暖化によって、台風の大型化や干ばつなどの異常気象、気候変動、環境の変化による生物の絶滅などさまざまな問題が起こることが予想されています。
SBTを達成することにより、地球温暖化の原因となっている温室効果ガスの排出が抑えられるので、環境保全に貢献することができます。

企業の信頼を高め、世間にアピールできる

日本はパリ協定の締結国として、2050年の脱炭素社会の実現を目標に掲げています。企業も、SBT認定を受けることにより、パリ協定に整合する持続可能な企業であることを、顧客や社員、投資家に対してアピールすることができます。顧客や社員の環境意識が強まりESG投資も拡大を続ける中、温室効果ガスの排出削減に積極的に取り組む企業は、社会からの信頼を高め、企業価値の向上が期待できます。

コスト削減できる

温室効果ガスの排出削減には、エネルギーの消費を減らす(省エネ)や、太陽光発電など再生可能エネルギーを導入する(創エネ)など、化石燃料への依存を減らすことが大切です。削減目標を達成するため、省エネに優れた環境設備の導入を進めたり、再生可能エネルギーを導入して自社で創エネを行ったりすることで、化石燃料への依存を減らすとともに、電力コストの削減につなげることができます。

イノベーションを後押しできる

温室効果ガスの削減には、新しいアイデアや技術などのイノベーションも必要です。具体的な削減目標を設定することによって、社員の意識が目標に向かい、温室効果ガスの排出量を削減するためのイノベーションを起こそうとする気運を高めることができます。

日本企業のSBT認定状況を紹介!

日本企業のSBT認定状況はどのようになっているのでしょうか。世界中でSBTの認定企業数は増加しており、日本もその例外ではありません。

Science Based Targets公式ホームページからの情報によれば、2024年5月時点で世界96か国から8,293社がSBTに加盟しており、このうち5,433社がSBTの認定を受けていて、2,860社が認定コミット中(2年以内でのSBTの目標設定を表明)です。

日本では、2024年5月時点で1,166社以上がSBTに加盟し、うち1,084社が認定を受け、82社が認定コミット中となっています。SBT認定を受けている日本企業の業種としては、電気機器メーカー(252社)、建設業(127社)が多く、他にも商社や代理店(85社)、自動車および部品(72社)、建築製品(71社)など、多岐にわたっています。
なお、国別のSBT認定取得数で日本は第2位となっており、第1位はイギリスの1,205社、第3位はアメリカの1,005社となっており、日本企業はSBTの取得に対して、非常に積極的に取り組んでいると言えます。

SBTの認定要件、手続き方法は?

ここからは、実際SBT認定はどのようにして取得できるのか、SBTの認定要件、認定手続きの大まかな流れについてご紹介します。

SBTの基本要件

SBTが企業に要求する温室効果ガス排出量削減の基準には

・地球温暖化による気温上昇が2℃を十分に下回る
・地球温暖化による気温上昇が1.5℃未満に抑えられる

という2つがあります。

SBTでは1.5℃未満の基準を推奨していますが、当然ながら基準を満たすための要件(温室効果ガスの排出削減量)は厳しくなります。

これら2つの基準は、2019年10月より新たに適用されたものです。それまでは「地球温暖化による気温上昇が2℃以下に抑えられる」という基準でしたが、より強いものに改められました。

企業は「2℃を十分に下回る」もしくは、「1.5℃未満に抑える」のどちらの基準に沿った取り組みを行うかを決定し、実現のための具体的な行動・削減目標を設定します。
行動・削減目標には、

・2℃を十分に下回る基準の場合は毎年2.5%、1.5℃未満に抑える基準の場合は毎年4.2%の温室効果ガスの排出削減を目標とし、5年~15年先の⽬標を設定する
・対象範囲には事業者だけでなく、他社を含めたサプライチェーン全体の温室効果ガス排出量が含まれる
・認定後の温室効果ガス排出量、削減の度合い、対策の進捗を開示する

という要件あり、これを満たすことが必要です。

SBT認定手続きの流れ

SBT認定までの手続きについて、大まかな流れは次の通りです。

1. 企業がSBT事務局にコミットメントレターを提出する
※コミットメントレターは2年以内にSBTの目標(ターゲット)を設定するという宣言
2. SBT事務局がコミットメントレターを受領し、企業はSBTコミット中となる
3. 企業はSBTの定める基準と合致するように、目標を設定
※目標の設定方法、内容はSBT事務局のマニュアルに従う
4. 設定した目標をSBT事務局に提出し、SBT認定を申請
5. SBT事務局の専門チームによって目標の検証が行われる
6. 提出した目標が基準を満たしており、認められればSBT認定取得
7. 企業は温室効果ガスの排出量と取り組みの進捗状況を年1回報告して開示、定期的に目標の妥当性の確認を受ける


SBT事務局がコミットメントレターを受領した段階でSBTコミット中の企業となり、その後、設定した目標が検証され、認められればSBTの認定を取得することができる、という仕組みです。
SBTは、科学的根拠に基づいた具体的な目標によって、地球温暖化の原因となっている温室効果ガスの排出削減を企業に求める国際イニシアチブです。
世界中でSBTに参加する企業は増加しており、日本でも120社以上が加盟し、そのうち90社以上がSBT認定を取得しています。

SBTに加盟、認定を受けることで、環境保全への貢献、イノベーションの後押し、コスト削減につながるほか、温室効果ガスの排出削減に積極的に取り組む姿勢によって企業の信頼性を高め、企業価値を向上させることにもつながります。

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