Green&Circular 脱炭素ソリューション

ソリューション資源循環

最終更新:2023.01.31

古紙のリサイクル・バリューチェーンを構築、顧客の「資源循環をコーディネート」

古紙の回収から再生紙の販売、再生紙を用いた段ボール等の包装材販売まで、リサイクル・バリューチェーンを構築する三井物産パッケージング。「動脈」物流のみならず、「静脈」物流にまで関わることで顧客の「資源循環をコーディネート」する、その取り組みや今後の展望について話を聞きました。

古紙は、古くからリサイクルがおこなわれている資材のひとつです。三井物産パッケージングは、古紙の回収から再生紙の製造、そして再生紙を用いた段ボール等の包装材販売まで、古紙のリサイクル・バリューチェーン全般に関わる商社です。古紙の再利用を通して、循環型社会「サーキュラーエコノミー」によるCO2削減に貢献している各担当者に、本事業の可能性と課題を聞きました。

高い水準を誇る日本の古紙リサイクル

──日本は、古紙の回収率が80%以上、再生率が約65%と、古紙のリサイクルが進んでいます。この理由をどうお考えでしょうか。
茂木 なんといっても国民の環境意識の高さだと思います。日本には紙を分別して資源化する教育と文化が根付いており、これは日本モデルと呼んでもよいと思います。また、日本は資源が乏しいがゆえ、リサイクルで資源不足を補う必要があり、必然的に古紙のリサイクル技術を高めてきた背景もあると思います。
三井物産パッケージング株式会社 業務部 ​茂木伸一郎。2006年入社。入社後、原紙、包装資材の国内販売に従事。​2021年、業務部へ異動し「包装資材ユニット全域の価値向上をミッションに戦略・戦術を策定する国内事業サポート」と「人材採用&育成」に注力。三井物産パフォーマンスマテリアルズ本部サーキュラーエコノミー推進チーム兼務。
三井物産パッケージング株式会社 業務部 ​茂木伸一郎。2006年入社。入社後、原紙、包装資材の国内販売に従事。​2021年、業務部へ異動し「包装資材ユニット全域の価値向上をミッションに戦略・戦術を策定する国内事業サポート」と「人材採用&育成」に注力。三井物産パフォーマンスマテリアルズ本部サーキュラーエコノミー推進チーム兼務。
──古紙のリサイクルは、CO2削減に貢献すると考えてよいのでしょうか。
鈴木 はい、紙の原料は木材となりますので、古紙を繰り返し利用することで新たな木材資源の投入を減らすことができます。また、焼却廃棄する紙の量を減らすこともできるので、CO2削減に直結すると考えています。
三井物産パッケージング株式会社 包装資材第二部 パッケージング室​ 鈴木学。2012年入社。原紙、包装資材の国内販売に従事。​2022年、パッケージング室に異動しエンドユーザーを起点とした循環型事業を推進している。
三井物産パッケージング株式会社 包装資材第二部 パッケージング室​ 鈴木学。2012年入社。原紙、包装資材の国内販売に従事。​2022年、パッケージング室に異動しエンドユーザーを起点とした循環型事業を推進している。
──古紙のリサイクルがコスト高になる、ということはないのでしょうか。
鈴木 コストに関しては、製品の仕様によるので一概に比較はできません。たとえば段ボールのリサイクルコストはそれほどかかりませんが、美粧性や白色度が求められるリサイクル製品は、異物の除去、脱インキ、漂白、洗浄といった処理を製造工程に加えることになります。つまり、高品質な再生用紙を求める場合には、コストが高くなる傾向にあります。
──では、エネルギー消費の面ではいかでしょうか。
鈴木 古紙を「白くてきれいなパルプまで戻す」には多くの薬品やエネルギーを要し、したがってコストもかかることとなります。また、パルプは洗浄するほど痛みますので、使用不可能な廃棄パルプが発生します。そこで、製紙メーカーは、古紙パルプに新品パルプを混ぜることで漂泊の負担を減らしています。これによって、古紙パルプの傷んだ繊維の欠点を、新品パルプの強い繊維がカバーしますので、廃棄パルプを減らすこともできます。漂白による負担を考慮しながら古紙を上手に利用・リサイクルすることで、こういったエネルギーコストも低減することが可能というわけです。

古紙回収の現状と三井物産パッケージングの優位点

──御社の古紙回収事業にについて教えてください。
平田 弊社は主に、事業系から排出される古紙を扱っています。これらを顧客から最適に回収し、リサイクルセンター(古紙問屋)へ納めています。そこでは、きちんと分別された古紙を安定的に低コストで回収することが求められます。
三井物産パッケージング株式会社 包装資材第二部 マテリアルリソース室 ​平田誠一郎​。2004年入社。原紙、包装資材、事務用品、間接材の国内販売に従事。​2018年より新設の環境資源室(現 マテリアルリソース室)に所属し、再生資源物の回収ビジネスを担当。​産業廃棄物適正処理管理士。
三井物産パッケージング株式会社 包装資材第二部 マテリアルリソース室 ​平田誠一郎​。2004年入社。原紙、包装資材、事務用品、間接材の国内販売に従事。​2018年より新設の環境資源室(現 マテリアルリソース室)に所属し、再生資源物の回収ビジネスを担当。​産業廃棄物適正処理管理士。
──分別における課題はどのようなところにありますか?
平田 古紙を排出する事業者側は、古紙回収・リサイクルの意識が成熟してきていますが、古紙を含む排出物に関する分別廃棄の啓発は継続的におこなっています。排出物の中に資源が含まれているかもしれないという意識は、まだまだ浸透していない側面があり、引き続き啓発していく必要性を感じています。
──安定的に低コストで回収する工夫などがあれば教えてください。
平田 古紙の廃棄・回収・リサイクルの流れを「静脈」、製紙から包装資材の製造・販売の流れを「動脈」と呼んでいますが、静脈側のコストのほとんどは物流コストが占めているので、いかに低コストで古紙を回収するかが資源循環の観点では重要です。物流の面では、ドライバー不足、燃料費の高騰といった問題があるなかで、いかに効率的に古紙を回収するか、物流コストの面から様々な工夫をおこなっています。例えば、回収業務はアナログでおこなわれている部分も多いのですが、当社ではITシステムやデジタルツールを活用して物流の効率化を図っています。
──ほかに、古紙回収にあたっての問題があれば教えてください。
平田 安定回収の側面からは、古紙の発生量が減っていることも問題としてあげられます。コロナ禍による経済活動の停滞、デジタル化による新聞や雑誌といった紙媒体の減少に加え、海外市況や為替の影響による輸出量の変動リスクが存在します。
──では、古紙回収事業における、御社の強みはどこにあるでしょうか。
鈴木 動脈物流には商社を含めた各社が対応していますが、静脈物流には商社の参入も少なく、日本の静脈物流は細かな業者が乱立している状況です。そのようななか、当社は三井物産の総合力で静脈物流にも対応し、動脈物流との連鎖をつくることができます。また総合商社の信頼感により、多くの企業から環境と経済の両立について、相談をいただいています。

難処理古紙や麻袋のリサイクルといった新たな取り組み

──古紙の回収や再生にあたって、最新の取り組みや新しい技術があれば教えてください。
茂木 「難処理紙」と呼ばれる防水加工された紙や感熱紙などは、焼却廃棄されることが通常です。現在、古紙の回収量が減るなかで難処理紙の再生が注目され、設備投資が進んでいます。難処理古紙の回収はニーズも高いため、原材料に戻すリサイクルの検証を進めているところです。
平田 同様に、その多くがゴミとして焼却処分されていた麻袋のリサイクルにも取り組んでいます。麻も植物の繊維なので、マテリアルリサイクルにより紙製品として再生することが可能です。麻袋を紙製品としてリサイクルしたのは当社が先駆けです。

資源循環のための仕組みづくりへ

──ここまで、古紙を回収する事業を中心にお話をうかがいました。続いて、資源循環の過程についてうかがいます。資源循環の過程は、どの様な形が理想になるのでしょう。
茂木 私たちの古紙回収事業では、顧客から古紙を回収し、リサイクルして同じ顧客に包装資材として販売するクローズドな資源循環もコーディネートしています。資源循環を実現させる再資源化の視点として、排出物である資源を有価物で売却するということは、需要家が原料の供給者にもなることも意味します。つまり、その原料(排出物)を高く供給すれば、需要家である自身に返ってくることになります。ここが重要なポイントでもあります。
今までは、排出物である資源を好条件で売ることだけを考えれば良かったのかも知れません。我々は、資源を限りなく循環させる「環境視点」、排出した原料から製品までの価格連動による「経済視点」、資源を供給することによる需要家としての「安定調達視点」。この3つの視点を実現する「バリュー・ネットワーク」で資源循環をご提案します。
──そうした資源循環の仕組みをつくる理由を教えてください。
茂木 顧客の廃棄・回収・リサイクル・利用といった「資源循環の流れが可視化」され、そこから「付加価値の連鎖」が生まれると考えています。私たちの役割は、顧客の視点に立って、顧客の「環境」と「経済」の両立を支援することだと考えています。
──循環型社会を追求していくと、そうしたビジネスモデルが理想的なわけですね。
鈴木 古紙リサイクルのなかでは、顧客・製紙メーカー・包装資材メーカーといった関係者が介在します。顧客の求める品質を満たす包装資材を、リサイクル素材で実現していく。そのためには、関係各社との連携協力と経済合理性をもって、全体として「環境」と「経済」を両立させていくことが大切だと考えています。

資源循環により「環境」と「経済」を両立させる

──最後に、資源循環により「環境」と「経済」を両立させ、脱炭素へとつなげるために力を入れたいことをお聞かせください。
平田 静脈での大半のコストは物流コストであると言いましたが、静脈物流コストを低減することが資源循環全体のコストを決定付けます。ひとつのエリアに複数の業者が同時に出入りするなど、静脈物流にはまだ非効率な部分がいくつかあります。今後はデジタルテクノロジーを使った静脈物流、ひいては資源循環の効率化を図っていきたいと思います。
鈴木 私たちは顧客を起点に、顧客の資源循環をサポートしています。顧客の環境意識は高まっておりますが、今後も顧客目線で考え 古紙リサイクルを含めた資源循環を中心に、顧客の「環境」と「経済」の両立をサポートしていきたいと思います。
茂木 当社は「ファーストワンマイル事業」と銘打って、古紙に限定せず排出元から廃棄物全体の管理を請け負う静脈での活動に力を入れています。静脈資源の効率的な回収・収集運搬に向けた連携協力で効率性を高め、さらには動脈物流との連鎖による循環コスト低減やCO2削減提案もおこなっています。
同時に、資源循環の入口として再資源化・プロダクト化が可能な資源発掘を可能にする、排出元へのタッチポイントをすでに有していることが当社の最大の特徴です。静脈と動脈のつなぎ込みによる価値連鎖により、経済的合理性を持って資源循環を実現する活動を進めていきたいと考えています。
——本日はありがとうございました。

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