3Rとは?企業の取り組みや今後の課題を詳しく解説 - Green&Circular 脱炭素ソリューション|三井物産

ソリューション資源循環

最終更新:2024.09.24

3Rとは?企業の取り組みや今後の課題を詳しく解説

3Rは環境問題に関する重要なキーワードであるものの、具体的な内容が分からず気になった方も多いのではないでしょうか。地球環境を維持するためには、個人や企業が3Rの意識を高め、具体的な行動を起こすことが重要です。

この記事では、3Rの概要や日本の現状、3Rに取り組んでいる企業の事例を解説します。環境問題に対する理解を深めたい方はぜひ参考にしてください。

3Rとは?環境対策のために取り組むべき3つの項目

3RとはReduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)という3つの英単語の頭文字をとった言葉です。日本では、2000年6月2日に公布された「循環型社会形成推進基本法」において、3Rの考え方が導入されました。

循環型社会形成推進基本法は、廃棄物やリサイクル対策のあり方を定め、環境問題の解決を図るために定められた法律です。この法律ではリデュース、リユース、リサイクルの3つが、環境対策のために取り組むべき項目として挙げられています。

3Rの具体的な取り組み

3Rの各項目には、さまざまな取り組みが含まれます。各項目の意味や取り組みの具体例は次の通りです。
Reduce(リデュース)
リデュースは減少させるという意味で、資源の使用量や廃棄物の量を減らすことを指します。

個人が実行できるリデュースの例は、マイバッグを使ってビニール袋の使用量を減らすことや、詰め替え製品を選ぶことなどです。企業の視点では、原材料の使用量を削減することや、耐久性が高く長く使える製品を作ることがリデュースに繋がります。
Reuse(リユース)
リユースは再利用するという意味で、製品や部品を繰り返し利用する取り組みを指す用語です。

個人が実行できるリユースの例として、フリーマーケットなどを活用し、中古品を購入・利用することが挙げられます。企業が実行できるリユースの例は、廃棄予定の製品を下取りするなどして、部品を回収して再使用することなどです。
Recycle(リサイクル)
リサイクルは再循環という意味で、廃棄物などを再生利用する取り組みを指します。

個人が実行できるリサイクルの例は、ペットボトルなどの資源ごみを分別回収することや、リサイクル製品を利用することです。企業が取り組むリサイクルの例として、廃棄物をエネルギー源として再利用することなどが挙げられます。

プラスチックリサイクルについては、以下の記事で詳しく説明しています。

プラスチックはリサイクルすると何になる?リサイクル方法や現状、企業の取り組みを紹介

日本における3Rの現状と今後の課題

ここでは、現在の3Rに関する活動や、日本人の3Rに対する関心はどのように変化しているのか、そして私たちはこれから何をすべきなのかについて解説します。

日本人の意識の変化

環境省が実施したアンケート調査によると、日本国民のごみ問題への関心が高まっています。ごみ問題に関心があると回答した人は、2016年度に66.3%だったものが、2021年には74.3%となっています。また、廃棄物の減量化や循環利用に対する意識も高まっており、廃棄物を減らすことを心がけている人が多くなっています。
引用: 令和4年版 環境・循環型社会・生物多様性白書
引用: 令和4年版 環境・循環型社会・生物多様性白書

3Rに対する行動の変化

3Rに関する具体的な行動を実施している人の割合に関しても、ここ数年で大きな変化が見られました。

2020年7月からは当時の小泉環境相の元、レジ袋が有料化されています。この影響もあってか「レジ袋をもらわず、買い物袋を持参したり、簡易包装をする」人は83.3%に及び、それ以外にも「詰め替え製品の利用」「食品を捨てないようにする」「ごみを分別する」「資源ごみの回収への協力」などは多くの人が実践している3R活動となっています。
引用: 令和4年版 環境・循環型社会・生物多様性白書
引用: 令和4年版 環境・循環型社会・生物多様性白書
3Rの認知度については、その言葉を知っている人が34.4%~38.1%の間で推移しており、認知度が大きく高まっているわけではありませんが、近年では3Rに代わり「サーキュラーエコノミー」という言葉が普及してきています。

一定の廃棄物が出る前提で、廃棄物を減らすことを主眼とする3Rに対して、設計や製造段階から廃棄物を出さないようにする発想の「サーキュラエコノミー」ですが、サーキュラーエコノミーは3Rを包含した概念と言えそうです。

今後の課題

限りある資源を有効活用し、循環型社会を実現するためには、消費者と事業者双方の意識向上と取り組みが不可欠です。

消費者は、環境負荷の小さな製品を優先して購入したり、資源ごみの分別を徹底するなど、環境を意識し、実際に行動をとることが大切です。

事業者は「設計段階から3Rを意識したものづくり」へとシフトしていく必要があるでしょう。

これまで、ものづくりの現場では、廃棄や再利用についてはあまり意識されておらず、生産効率のみが重視されていました。しかし、近年の環境意識の高まりもあり、消費者は環境価値を基点に製品やサービスを選ぶようになってきています。事業者は今後、原材料の調達、製造、販売のみならず、廃棄・再利用までのライフサイクル全体を考慮したものづくりが求められます。

3Rに取り組んでいる企業事例を紹介

日本国内では、3Rに力を入れている企業も存在します。ソフトバンクやサントリーの事例からは、企業が取り組める3Rの実例を学べます。

ここでは、3Rに取り組んでいる国内の企業事例を紹介します。

ソフトバンクの3Rの取り組み

ソフトバンクは、モバイル端末や通信関連のサービスを販売している国内企業です。携帯電話サービス事業やオフィスにおける活動のなかで、環境保護のために次のような取り組みを行っています。
リデュース
携帯電話サービス事業では、製品に同梱する書類のアプリケーション化や店頭でのタブレット活用が主な取り組みです。また、請求書をオンライン料金案内に切り替えることで、紙資源使用量を削減してきました。

ソフトバンクのオフィスでは、2012年から社内業務のペーパーレス化に取り組んでいます。
リユース
携帯電話サービス事業におけるリユースの主な取り組みは、故障していない携帯電話やタブレットの下取りです。下取りした端末は再整備を行い、海外で再使用されています。

オフィスにおけるリユースの取り組みは、社内で不要となった備品や文房具類の再使用です。不要となった備品を置けるリユース棚を社員サポートセンター入り口に設置し、必要な部門が再使用しています。
リサイクル
携帯電話サービス事業におけるリサイクルの取り組みは、使用済みの携帯電話や電池パックの再資源化です。携帯電話や電池パックから、レアメタルや金などを回収しリサイクルを行っています。

オフィスにおけるリサイクルの取り組みは、不要書類の回収と再利用です。鍵付きの機密文書回収用ボックスを用意し、集めた不要書類を溶解することで、トイレットペーパーなどにリサイクルしています。不要書類の回収により、2019年度は立木720本分に相当する資源の再利用を実現しました。

サントリーの3Rの取り組み

サントリーは、アルコール飲料や清涼飲料水の製造・販売をしている国内企業です。ペットボトルや瓶、缶などを使用した製品作りのなかで、環境保護のために次のような取り組みを行っています。
リデュース
サントリーが行っているリデュースの取り組みは、環境に配慮したグリーンエコボトルの開発やロールラベルの使用などです。

グリーンエコボトルは天然水の販売に使用されているペットボトルで、従来のペットボトルよりも軽量化されています。ペットボトルの軽量化によって、原料である石油資源の使用量が約4割削減されました。

ロールラベルとは、ミシン目ではなくのりづけ部分からはがすタイプのラベルです。ロールラベルはミシン目があるラベルと比較して薄く、CO2排出量の削減に貢献しています。
リユース
サントリーが行っているリユースの取り組みは、容器の再使用です。ビール瓶や樽を回収し、洗浄したうえで繰り返し使用しています。

業務用として流通している清涼飲料水の瓶も、回収と再使用の対象です。容器を再使用することで、環境への負荷を低減しています。
リサイクル
リサイクルのために行っている主な取り組みは、植物由来の再利用原料で作られたペットボトルの開発です。サントリーは2016年から米国のバイオ系企業との共同開発を開始し、植物由来原料100%のペットボトルの実用化を進めています。

2019年には、一部の商品に使用されるペットボトルキャップの100%植物由来化に成功しました。石油由来原料からの代替のため、継続的な研究開発が行われています。

三井物産の3Rの取り組み

三井物産では、大手商社の総合力を活かし、金属資源やプラスチック資源を中心に多面的なリサイクル関連事業に取り組んでいます。

例えば、ヴェオリア・ジャパン(自治体向け施設管理事業)、7&iホールディングス(コンビニ事業)と三井物産の合弁で設立したサーキュラーペットは、岡山県津山市にPETボトルリサイクル工場を設立し、効率的なPETの再資源化を推進しています。

三井物産のリサイクル関連事業については、以下のリンクをご参照ください。
資源循環
近年の環境意識の高まりは、環境負荷の大きなものづくりを許容しなくなってきています。消費者は環境負荷の小さい製品やサービスを選択的に購入・利用するようになり、環境負荷の小さなものづくりが付加価値になってきています。

事業者は、旧来的で一方向的なものづくりを脱却し、循環型のものづくりへシフトすべき時期に差し掛かっています。この記事で紹介した事例のように、私たちにできることから環境を見つめ直し、ビジネスへと展開することが重要です。

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