リユースとは?意味やリサイクル・中古との違い、国内外の具体例も紹介 - Green&Circular 脱炭素ソリューション|三井物産

ソリューション資源循環

最終更新:2025.02.21

リユースとは?意味やリサイクル・中古との違い、国内外の具体例も紹介

「リデュース」「リユース」「リサイクル」の「3R」は、脱炭素社会の実現に不可欠なアクションです。現在、個人の消費行動や企業の生産活動の見直しを促進する「リユース」の取り組みが広がりを見せています。本記事では、リユースの意味と他の類似用語との違い、消費者や企業の取り組み、海外での具体例を紹介。リユースが果たす役割や課題、リユース以外の気候変動対策も解説します。

リユースとは?

リユースのアイコン
リユースとは、使用済みの製品や物を捨てずに繰り返し使うことを指します。  資源を有効活用し、ゴミを減らすことで環境への負担を減らす取り組みの一つです。

例として、フリーマーケットやリサイクルショップ、寄付などを通じて他人に譲る方法が挙げられます。古本や衣類、中古自動車など、幅広い製品がリユースの対象です。 また、再び使用するための製品の修理やアフターサービスもリユースに含まれます。    

リデュース・リユース・リサイクルの「3R」とは?

リデュース・リユース・リサイクルの「3R」
3R(スリーアール)とは、英語のReduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)の頭文字を取った持続可能な未来のために取り組む3つのアクションの総称です。それぞれ以下のような意味があります。

・リデュース:「減らす」を意味し、無駄なゴミを出さない行動が中心
・リユース:使用済みの物を捨てずに繰り返し使うこと
・リサイクル:廃棄物を資源に戻して新たな製品を作る取り組み

3Rは、地球温暖化の原因となるCO2の排出やエネルギー消費、さらには環境汚染などの影響を軽減するための重要なアクションです。

リユースと類似用語との違い

ペットボトルをリサイクルする人
ここでは、3Rのそれぞれの違いを例を挙げながら具体的に解説します。また混同されがちなリユースと中古の違いも見ていきましょう。    

リユースとリサイクルの違い

リユースとリサイクルの違いは、主に資源の使用方法と環境への影響にあります。リユースは、使用済みの製品や物をそのまま繰り返し使用することで、新たに製品を作るための資源やエネルギーを消費せず、環境負荷を抑える取り組みです。

一方、リサイクルは廃棄物から資源を再生し、新たな製品やエネルギーに転換するプロセスです。この過程では、物質を解体したり加工したりするためにエネルギーが必要となり、その分、リユースよりも環境への負荷が高くなることもあります。

例えばリサイクルには、再生紙やアルミニウム缶を同じ製品に再生する「マテリアルリサイクル」、廃プラスチックを新しい製品に変換する「ケミカルリサイクル」、ゴミを燃やした際に発生するエネルギーを発電に利用する「サーマルリサイクル」などがあります。

リユースとリデュースの違い

リユースは使った物をゴミとして捨てずに再利用することを指します。一方、リデュースは無駄な消費を減らし、資源の使用やゴミの量を少なくすることに焦点を当てています。

リデュースの具体例としては、ゴミになりやすいレジ袋の代わりにエコバッグを使用したり、簡易包装を選んだりすることが挙げられます。リデュースは、リユースの前段階として、消費そのものを減らすための取り組みです。

リユースと中古の違い

リユースと中古はどちらも使用済みの物を表現する際に使う言葉ですが、目的と重点に違いがあります。

リユースは、環境負荷の削減を目的に使用済みの物を再利用することで資源を有効活用することを表現しています。消費者は物を使用した後の選択として「廃棄」または「リユース」を選ぶことになります。

一方、中古は誰かが使用したものを再販売する文脈で使用されることが多く、「新品」の反対語として使われます。例として中古車、中古家具などが挙げられます。ただし、最近では中古品をリユース品と呼ぶことも増えており、リユースと同様の意味で使われることがあります。    

消費者ができるリユースの具体例

フリマアプリで服を売る人
リユースは私たちの消費行動を見直すだけで簡単に取り組めます。私たち個人ができることを紹介します。

1. フリーマーケット・リユースショップの利用

使わなくなった物は、フリーマーケットやフリマアプリを活用して再利用することができます。フリーマーケットは、公園や広場などを会場に、安い値段で商品を販売できる催しです。スマホのフリマアプリを利用すれば、手軽に出品や購入ができるので便利です。

また、リユースショップに使わなくなった物を持ち込んだり、そこで購入したりする方法もあります。

2. 詰め替え用品の購入

詰め替え用品を利用すれば、プラスチック容器を繰り返し使用することができます。シャンプーや洗剤、インスタントコーヒーなど、さまざまな詰め替え用品が販売されており、これを活用することで使い捨て容器の削減が可能です。また、飲料については、マイボトルを活用することで、使い捨て容器の削減に貢献できます。

3. リターナブル瓶の購入

リターナブル瓶とは、回収・洗浄して繰り返し使用できる容器のことです。牛乳瓶やビール瓶、一升瓶など、さまざまな飲料に利用されています。瓶の洗浄後に新しい飲料が詰められ、再販売されることで資源を有効に活用できます。消費者がリターナブル瓶を選び、回収に協力することで、ゴミの削減に貢献することが可能です。    

4. 「お下がり」の使用

服やおもちゃ、学用品、ベビーカーなどの「お下がり」を使用するのもリユースの一例です。使わなくなった物を家族や友人に譲ることで無駄なく活用できます。新しい物を買う代わりに、お下がりでコストを節約できるのもメリットです。

企業ができるリユースの具体例

家電を修理する男性
最近では、廃棄予定の製品を再生して販売・提供している企業も少なくありません。循環型社会へ対応するためにビジネスモデルを転換している企業例を紹介します。    

1. リユース家電の販売・提供

家電メーカーは、回収した家電を点検・修理して再利用する取り組みを行っています。例えば、Panasonicでは展示品や初期不良で販売されなかった製品を修理・整備して販売しています。

また、シャープでは大学と連携し、卒業生から使用済み家電を回収して、新入生や留学生に提供する取り組みを実施。冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器、洗濯機、掃除機など、幅広い生活家電がリユースされています。    

2. リユース衣料品の販売

古着のリユースは、消費者だけでなく、企業でも広がりを見せています。ユニクロでは、消費者から回収した衣類を洗浄・検品し、古着として販売。また、無印良品も回収した衣類を染め直して、新たな製品として販売しています。

このように、企業の取り組みも消費者のリユース活動をサポートし、持続可能な社会の実現に貢献しています。    

3. オフィス家具の再利用

破損していないオフィス家具は、リユース家具として活用できます。例えば、デスク、オフィスチェア、ファイル棚などが再利用されています。リユースのオフィス家具を扱うプラットフォームを通じて、これらの家具を売却したり購入したりすることも可能です。    

4. サブスクリプション導入でビジネス転換

サブスクリプションサービスを導入してリユースに取り組む企業が増えています。リコーは複合機のサブスクリプションサービスを提供しています。クラウドプラットフォームを活用することで、機器を買い替えることなく性能のアップデートが可能です。    

【海外】リユースの具体例

フランスのガラス瓶リサイクル
海外でもさまざまな方法でリユースが推進されています。欧米でのリユースの事例を紹介します。

1. フランス:リユース容器の導入で脱プラスチック

フランスは、2040年に使い捨てプラスチック包装の市場投入を禁止する方針を発表し、3R政策を推進。2027年までに包装容器のリユース率を10%に引き上げる目標を掲げています。この目標を達成するために、ガラス容器などのリユース容器を導入し、脱プラスチックの実現を目指しています。

2. スウェーデン:税制優遇策でリユース産業支援

スウェーデンでは、リサイクルマルシェで家具や衣類、雑貨などがリユースされ、持続可能な消費を進めています。さらに、税制優遇策を導入して、リユース商品の販売や修理を促進してきました。

例えば、自転車、革製品、衣類、家具、白物家電などが対象です。リユース産業の発展が促進され、消費者にとっても魅力的な選択肢となっています。

3. アメリカ:非営利団体によるリユース品販売と社会貢献活動

アメリカのリユース市場は急速に拡大しています。アメリカにおいても、リユース事業者を支援するために税制優遇措置が導入されています。

非営利団体であるGoodwill Industries Internationalは、寄付された中古衣料品や家具、電化製品を販売。その収益を職業訓練や雇用創出プログラムに充てています。

リユースが推進される背景

ゴミの埋め立て処分場
3Rのリユース活動が推進されている背景には、埋め立て地や地球温暖化、天然資源の枯渇の問題があります。詳しく解説していきます。    

最終処分場(埋め立て地)の逼迫

使えなくなったゴミは焼却後、最終処分場で埋め立てられます。環境省のデータによると、2022年3月時点での処分場の残余容量は96,663千平方メートル*。このまま現在のペースで進むと、約23.4年後には埋め立て地が満杯になると言われています。

自然破壊や住民の反対などが影響し、新たな処分場の設置は難しいのが現状です。これらの問題によりリユースの推進が求められています。

温室効果ガスの排出による地球温暖化

ゴミを焼却すると、CO₂などの温室効果ガスが排出されます。また、製品やサービスが私たちの手元に届くまでには、原材料の入手、加工、製造、輸送と多くのステップがあり、その過程で多くのCO₂を排出します。

CO₂の増加は地球温暖化を進行させ、異常気象や海面上昇を引き起こす一因に。リユースをすることで、ゴミの焼却量を減らすだけでなく、新しい製品を製造する際に排出されるCO₂も抑えられます。    

資源の枯渇と取り合い

私たちが日常的に使用するあらゆる物には原材料があり、使い捨てが続くと資源の枯渇が進んでいきます。例えば、プラスチックの主原料である石油は、現在のペースで消費すると約50年で枯渇すると予測されています。資源が枯渇すれば、国家間での取り合いが起こり、戦争に発展する可能性もあるのです。

その他にも、以下のようなさまざまなリスクを抱えています。

・気候変動が進み、熱波や寒波など極端な気候によってさらにエネルギー需要が逼迫する
・資源の価格上昇による製造コストの上昇が、経済に悪影響を及ぼす
・紛争鉱物による紛争問題や人権問題の悪化  

※紛争鉱物とは、コンゴ民主共和国を中心とするアフリカ周辺の紛争地域で採掘される鉱物です。天然・人的資源の濫用が戦争の長期化の一因となっています。

リユースの役割とメリット

ペットボトルとカーボンニュートラル
リユースの推進には以下の役割とメリットがあります。

・CO2排出を削減でき、地球温暖化の進行を抑える
・過剰な生産や消費を抑制し、環境負荷を軽減できる
・資源を無駄にせず、安価で製品を購入できる
・ゴミの埋め立て処分量を減少できる
・修理サービスが広がり、新たな雇用機会が生まれる    

リユースの課題とデメリット

エアコンの修理をする人
リユースが広がると、中古品の購入が増え、新品の需要が減少することで、産業や経済成長に悪影響を与える可能性があります。また、最新モデルの製品はCO2排出や消費電力に関する性能が向上しており、古いリユース品を使用することが必ずしもエコとは言いきれません。さらに、修理をして使うよりも新製品を購入した方がコストが安くなるケースもあります。

リユース以外の気候変動への対策

植林をする人
リユースの他にも、CO2の排出量やエネルギー消費、環境負荷を減らすための対策が行われています。その取り組みを3つ紹介します。

緑化・植林によるCO2吸収

植物はCO2を吸収し、地球温暖化の防止に貢献します。緑化や植林によって、ヒートアイランド現象の緩和にも効果があります。自然破壊で失われた緑を補う植林は、地球環境の修復にも役立ちます。さらに、伐採された木材はCO2排出が少ないバイオマスエネルギーとしても活用できます。

再生可能エネルギーの利用拡大

化石燃料に比べて枯渇の心配がなく、温室効果ガスの排出を抑えられる再生可能エネルギーの利用が進められています。再生可能エネルギーとは、太陽光、水力、風力、地熱、バイオマスを利用したエネルギーのこと。2021年に閣議決定された「第6次エネルギー基本計画」では、再生可能エネルギーの主力電源化が宣言されています。

水素エネルギーの実用化

脱炭素社会の実現に向けて、日本は水素エネルギーの活用を積極的に推進しています。2023年に改定された「水素基本戦略」では、水素導入目標を2040年において年間1,200万トンとする目標が設定されました。2024年5月には「水素社会推進法」が施行され、低炭素水素の供給と利用を促進するための規制整備と支援が一体的に進められています。また、水素自動車の普及も進み、燃料供給を行う水素ステーションは、全国で150か所に設置されています。

「3R」のリユースに取り組み持続可能な社会を目指そう

ゴミの分別をする親子
持続可能な未来を実現するためには、ゴミを減らす「リデュース」、使える物を繰り返し使う「リユース」、再資源化して利用する「リサイクル」の「3R」アクションが重要です。特にリユースは、企業だけでなく、個人の消費活動を意識するだけで簡単に実践できます。リユースを積極的に取り入れ、持続可能な社会の実現を目指しましょう。    

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