CCUSとは?CO2を再利用して排出量削減に導く取り組みを解説! - Green&Circular 脱炭素ソリューション|三井物産

ソリューションカーボンオフセット

最終更新:2024.09.24

CCUSとは?CO2を再利用して排出量削減に導く取り組みを解説!

この記事では脱炭素への取り組みを検討中の方に向けて、持続可能な社会につながるCCUSとはどのようなもので、環境にどのような効果があるのかを説明します。また、日本におけるCCUSの現状や課題についても解説します。

CCUSとは?

CCUSとは、「CCS(CO2回収・貯留)」と「CCU(CO2を利用する技術)」の2つの言葉を合わせたもので、CO2を回収し、貯留または利用する考え方、技術のことをいいます。
ここからは、CCSとCCUについてそれぞれ詳しく説明します。

CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)とは

CCSはCO2の回収と貯留を意味する言葉です。例えば、石油や石炭などの化石燃料をエネルギーとして使う火力発電では、発電時にCO2が発生します。それを専用の設備で回収し、圧力をかけて地中深くにため込みます。回収する際にCO2は、他の気体から分離され、CO2のみを回収する仕組みになっています。地中に専用のタンクが設置されているわけではなく、すきまの多い砂岩などの層(貯留槽)にCO2が貯留されます。
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CCU(Carbon dioxide Capture and Utilize)とは

CCUは回収したCO2を利用する技術です。ドライアイスとして使用したり、コンクリートの原料として活用したりするものです。CO2が温室効果ガスとなるのは、あくまで大気中に排出された場合です。地中にとどまっている限りは、実質的にCO2が削減されたのと同じことになります。
引用:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
引用:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)

日本・海外でのCCUS導入状況とは?

日本のCCS

日本ではCCUSを進めるにあたり、現在CCSの実証実験が進められております。日本で最初に行われたCCS は北海道苫小牧での実証実験です。施設の建設や試運転を経て2016年度からCO2に高い圧力をかけて注入、貯留させる作業を始め、2019年11月には貯留目標である累計30万トンの注入に成功しています。現在はCO2貯留の安全性を担保するため、様々な手法(弾性波探査、微小振動観測など)を組み合わせて経過観察が行われています。

日本のCCU

CCU技術では、CO2の資源化や人工光合成など様々な取り組みが進められています。佐賀県佐賀市では、日本で初めてごみ焼却場の廃棄物発電施設にCO2分離・回収設備を設置し、回収したCO2は藻類培養業者に売却され、化粧品やサプリメントとして製品化しています。

海外のCCS

海外では枯渇油田へのCO2貯留など様々な取り組みが進められています。三井物産と三菱商事の共同出資にて設立されたジャパン・オーストラリアLNG(MIMI)社は、国際石油・ガス企業4社(豪Woodside(ウッドサイド)、英bp(ビーピー)、英Shell(シェル)、米Chevron(シェブロン))と共に 豪州北西部カラサの沖合にある枯渇ガス田でのCCS事業調査を進めています。
また、三井物産と英Shellは、アジア大洋州域内で、CCSおよび液化CO2運搬船の実証に関する共同調査をしています。

海外のCCU

アメリカではCO2を古い油田に注入することで油田に残った原油を圧力で押し出しつつ、CO2を地中に貯留するというものが行われています。原油が残り少なくなった油田は、原油が自然には噴き出さなくなります。CO2を活用して原油をきちんと回収することで石油の増産につながり、全体的なCO2の削減にも貢献しています。
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CCUS実現に向けた課題とは?

CCSやCCUは地球温暖化対策として非常に有意義なものですが、日本がCCUSの実現するためには、コスト、技術、環境の3つの課題をクリアする必要があります。

CO2を他の気体から分離させて回収する時にかかるコスト

CO2を貯留する際には、CO2を他の気体から分離させる必要があります。その方法にはCO2を吸収する液体を使う方法や、特殊な膜を使ってCO2だけを分離させる方法などがあります。しかし、どちらの方法も、技術面とコスト面の課題からまだ実用化されておらず、研究段階です。
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回収したCO2を再実用化する際の技術・コスト

発電所や化学工場から排出されたCO2を貯留するだけでもCO2の削減効果はありますが、最も望ましいのは、ため込んだCO2を再利用することです。その方法はCO2をそのまま使うのではなく、別の物質に転換して再利用するカーボンリサイクルという技術が有効です。
カーボンリサイクルでは、メタンやバイオ燃料といった化学燃料の代替燃料を作り出すものや、CO2吸収コンクリートなどの鉱物化、ウレタンなどの化学品へ再利用が想定されています。しかし、コンクリートなどの鉱物化を除きCO2から科学燃料や化学品を作り出す場合は、さらにエネルギーを投入し、CO2に化学的な変化を与える必要があります。そして、そこにもコストもかかってしまいます。さらに、燃料化にはCO2だけでなく、水素などの材料も必要になります。水素自体が高価なため、供給コストを大幅に引き下げられなければ、実用化できません。

十分な量のCO2を長期間貯留できる地層の探索

発電所や化学工場から回収したCO2の貯留は地中で行われますが、地中深くに専用のタンクがあるわけではなく、すき間の多い砂岩などの層にためていきます。そのため、地中であればどこでもよいわけではないので、多くの量のCO2を貯留する場合、それだけ大規模な地層が必要になります。仮にCCUSの技術が発展したとしても、そもそもCO2を貯め込める場所がなければ意味がありません。現在日本では、経済産業省と環境省が共同でCO2の貯留に適して地層の調査が行われています。
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現在は、実験段階で実用化に向けて課題が残されているCCUSですが、CO2が資源として活用されれば、CO2削減や地球温暖化対策に貢献できる取り組みとなるため、CCUSが注目されています。

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