Green&Circular 脱炭素ソリューション

ソリューション最適化

最終更新:2023.03.16

快適な空調・省エネ・脱炭素化をサブスクリプションによって実現させる

ビルや施設で使用される電力の約40〜50%は空調による消費といわれており、空調の省エネ化はコスト削減や脱炭素化への貢献に寄与します。Air-as-a-Service(エアアズアサービス)は、IoT技術を活用することで電力の見える化を実現。快適な空調・省エネ・脱炭素化を提供します。その他、各種導入メリットも説明していきます。

三井物産とダイキン工業グループの合弁会社として、2019年に本格始動した「Air-as-a-Service(エアアズアサービス)」。ビルや病院、工場などの施設向けに、省エネで快適な空調のサブスクリプションサービスを提供しています。空調設備の販売ではなく、快適な空間を月額固定料金で提供するメリット、さらには脱炭素社会の実現に向けての展望を聞きました。

サブスクリプションにすることで多くのメリットが生まれる

――Air-as-a-Serviceは、サブスクリプション(月額固定料金)を活用した空調サービスということですが、主なサービス内容を教えていただけますか。
大下 一番のポイントは、空調を「所有」から「利用」へと切り替える提案です。設備を「所有」すれば、保守や点検といった設備管理業務が発生します。設備管理は大事な業務ですが、それ自体では利益を生み出さない「ノンコア業務」です。それならば、設備管理や運用は外部に任せてもらい、お客様にはコア業務に人材を集中してもらいたいと思います。しかも、Air-as-a-Serviceを導入すれば、当社の持つ空調運用ノウハウにより、省エネによるコスト削減やCO2排出量の削減も可能です。これは「所有」では生まれないメリットです。
――Air-as-a-Serviceでは「空調の安定稼働」「初期投資不要」「脱炭素化への貢献」「コストの削減」「人手不足の解消」「オフバランス」の6つをサービスの特長に挙げられています。
大下 まず「空調の安定稼働」に関しては、IoT技術を活用することで「止まらない空調」「壊れない空調」を目指しています。具体的には、運転状況を遠隔監視し、故障の予兆検知をおこない、適切な点検・交換をおこないます。病院や老健施設では特に、この「空調の安定稼働」に対して高い評価をいただいています。
――故障の予兆検知はどの程度できるものなのでしょうか。
大下 予兆を検知できるのは故障の70%程度です。予兆検知ができずに故障してしまった場合には、全国にあるサービスステーションを通じて72時間以内に修理が可能となっています。72時間というと結構時間がかかると感じるかもしれませんが、従来の半分程度に短縮された時間です。故障時にすぐにかけつける業者は多いのですが、かけつけてから行う故障箇所や原因の特定、修理部品の調達などに時間を要します。この時間を、当社ではIoTによる遠隔監視を通して削減しています。
——「初期投資不要」に関しては、まさにサブスクリプションの特長ですね。
大下 サブスクリプションにすれば、保守点検や修理費などの費用がかからず「コスト削減」になります。また、これら業務への対応が不要となりますので、「人手不足の解消」にもつながります。さらには、エアコンを資産計上する必要がなくなる(※1)、いわゆる「オフバランス」ができますので、ROA(総資産利益率)改善にもつながります。
※1 契約内容によります。会計処理については契約者の監査法人または会計士に相談ください。
――サブスクリプションにすることで、さまざまなメリットが生まれるわけですね。電気代における「コスト削減」への取り組みも教えてください。
大下 空調設備の更新時においては、空調を新しいものに入れ替えれば、従来との省エネ性能の差によって電気代は下がります。その一方、空調設備は余裕をもって大きめの容量で導入されることが多く、私たちはそこを適正容量にし、IoT技術を使いながら効率的に運用することで省エネを実現しています。

運用改善サイクルで脱炭素化に貢献

――省エネが実現できれば、コスト削減と同時に「脱炭素化への貢献」にもつながりますね。
大下 そういうことです。手法としては、まずはIoT技術を活用することで、運転状況を見える化します。そこから無駄をあぶり出し、なくす改善をおこないます。つまり、運用改善サイクルを回していくということです。
改善についてまず考えることは、電力使用量のピークを低く抑えることです。電力の基本料金は、年間で最も電気を使用した30分間の使用量に応じて設定されるため、電力の同時使用のピークを抑えることが重要になります。
――電力使用量のピークは、どのようなときに訪れるのでしょう?
大下 オフィスで電力使用量がピークに達しやすいのは冬季の休み明けです。休み中に冷え切った建物に出勤した際に、一斉に空調をフル回転させてしてしまいがちです。このピーク電力を抑えるために、出勤前の早朝から段階的に空調の電源を自動で入れるという制御をおこないます。これはデマンド制御と呼ばれるものです。
――まずは電力の基本料金を抑える。その次にどんなことをするのでしょうか。
大下 よくあるのが、空調の消し忘れです。残業から帰宅する際にオフィスの空調を消し忘れる、会議室の空調を夏には低温、冬には高温設定したまま会議室を後にするといったことが起こりがちです。このような電力の無駄遣いをなくすために、あらかじめ設定したタイミングで空調のオフ信号を自動で送るような運用をしています。
一般的に2~3年するとお客様も省エネ運転のコツを掴まれて、かなり改善されていきます。なお、こういった空調の稼働データは、空調の使用状況の見える化に加え、予兆検知にも利用しています。
小森 こういった運用改善に関する取り組みが評価され、Air-as-a-Serviceは2020年度の「省エネ大賞」を受賞しました。空調「設備機器」が省エネ大賞を受賞することがこれまででしたが、「運用改善」が省エネ大賞を受賞したのは初めてのことです。

ビルや施設における電気使用量の約40~50%は空調

――改めて、このような事業を立ち上げたきっかけを教えてください。
大下 発想の源になったのは欧州での設備のエネルギーマネジメントの先行事例です。これを日本でもできないかと模索するなかで、一般的なビルや施設における電気使用量の40~50%を占める空調のサブスクリプション・サービスにたどり着きました。
――ダイキンとの関係を教えてください。
大下 まずは業界のトッププレーヤーとしてダイキンにお声がけしたところ、ダイキンも新たなビジネスモデルを模索しているところでした。当社は商社として様々な事業をおこなっていましたので、そのビジネスモデルの変革を共に推進する形で始まりました。
――三井物産の主な役割はどこになるのでしょうか。
大下 簡単に言えばビジネスモデルの構築です。これまで確立してきた手法を自ら変えていくことは難しいものですから、ダイキン社内外の技術を組み合わせて新たなサービスを企画する、新たな販売方法を検討するといった役割を果たしてきました。加えて、金融・財政機能の提供です。お客様に代わって初期投資をおこない長期的に回収するサブスクリプション型の事業ノウハウは、三井物産が培ってきたものを生かすことができます。

お客様が求める各種サービスをワンパッケージで提供

――競合他社はどこになるのでしょうか。
大下 真正面からぶつかる競合はいないのが現状です。
小森 空調設備の導入・更新から保守・運用まで、ワンパッケージで省エネ及びCO2排出量の削減を実現することが、他社にはない当社の特徴かと思います。省エネ技術を持つ会社、保守・点検をおこなう会社など、個別には得意とする会社はありますが、Air-as-a-Serviceにはすべてが揃っています。他社が真似できない技術というよりも、よりよいサービスを組み合わせながら、お客様が真に求めているものを提供しています。
大下 強いて競合をあげるとすれば、空調メーカーとリース会社やファイナンス会社が連携して当社と類似したサービスを提供する場合があります。
――事業をやられているなかで、「脱炭素」に対する意識の高まりは感じますか?
大下 はい、上場企業はとくに感じます。彼らはステークホルダーに脱炭素化を進めることを宣言していることもあり、空調設備更新の際に、安定稼働や省エネによるコスト削減ももちろん期待されていますが、同時にCO2排出量を削減したいと考えています。私たちは電力使用量を常にモニタリングしていますので、CO2排出量のシミュレーションも即座に行い、その削減効果を示すことができます。

脱炭素社会の実現に向けて1歩ずつ進んでいく

――今後の展望をお聞かせください。
大下 空調設備のサブスクリプション型サービスを広く知っていただき、「所有」から「利用」への転換を進めることで、「いつでも快適」で、省エネによる「コスト削減」と「CO2排出量の削減」を同時に実現する。空調の新しいスタンダードを確立していきたいと考えています。将来的に使用エネルギーを100%再生可能エネルギーでまかなうためには、消費電力を減らしていくことも重要です。我々は設備の運用改善を通して省エネ、ひいてはCO2排出量削減に貢献していきます。
また、この運用改善を空調以外の設備機器に展開することも模索していきたいと考えています。
小森 脱炭素化よりも、コスト削減を優先的に考えるお客様もまだ多くいらっしゃいます。私たちのソリューションは、そういった方々でもコスト削減と同時にCO2の排出削減を実現できるところが強みだと思っています。そのような観点から、Air-as-a-Serviceを普及させていくことが、地球環境への貢献になると感じています。
ーー本日はどうもありがとうございました。

エアアズサービス株式会社
代表取締役
大下泰典

エアアズアサービス株式会社 代表取締役 大下泰典。2006年三井物産に入社。素材のトレーディング事業や海外でのデータセンター事業立ち上げに従事。2018年より事業性実証段階にあったエアアズアサービス(当時はペーパーカンパニー)に従事し、2019年にダイキングループと三井物産が人を出し合う形で会社を実体化(本格稼働)したタイミングから現職。

エアアズサービス株式会社
東日本事業部
小森貴就

エアアズアサービス株式会社 東日本事業部 小森貴就。2021年三井物産に入社。子会社である三井情報株式会社の資本政策に従事した後、2022年5月よりエアアズアサービスへ出向。

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