Green&Circular 脱炭素ソリューション

ソリューション再エネ

最終更新:2023.08.17

食品廃棄物のバイオガス化により 廃棄物削減と脱炭素化に貢献

食品廃棄物を発酵させることでバイオガスを生成し、再生可能エネルギーとして利用する。三井物産のメタン発酵バイオガス発電事業では、食品工場を中心にそのバイオガス施設の導入を進めています。食品廃棄物はこれまで、バイオガスとして再生利用されることはほとんどありませんでしたが、そこに新しい選択肢を提供するメタン発酵バイオガス発電、その可能性や課題について担当者に話を聞きました。

三井物産 中部支社では、脱炭素ソリューションの一つとして、メタン発酵バイオガス発電事業に取り組んでいます。同事業は本格検討から約1年という期間ながら、複数のバイオガス施設のベンダーと連携し、最適ベンダーの選定やプラント設計を通じて、投資回収性の高いバイオガス施設の提案を可能としています。食品会社を中心に多くの関心が寄せられている背景には、その経済合理性に加え、食品廃棄物の削減およびCO2排出削減といった環境面に対する大きなメリットがあります。
――メタン発酵バイオガス発電事業に着目し、取り組みを始めた経緯を教えてください。
馬場 中部支社の事業推進室では、以前から太陽光発電やPPAによる再エネ販売といった脱炭素ソリューションを、三井物産グループ横断で提供してきました。お客様から脱炭素に関するさまざまな相談を受けるなかに、食品廃棄物やバイオガスについての相談もありました。そこでゼロから調査をはじめ、さまざまなバイオガス施設の視察を通じてベンダーを発掘・選定し、お客様の課題やニーズに応えるバイオガス施設を紹介できるまでに至りました。
三井物産 中部支社 業務部 事業推進室長 兼 関西支社 国内事業開発室 馬場孝宣。1994年入社。入社以来、肥料原料のトレーディング、ディーゼルエンジン車より排出されるNOⅹ低減に使用するAdBlue®販売事業立ち上げ、ロンドン勤務等を経て、現在はものづくり集積地の中部圏で「カーボンニュートラル複合ソリューション提案」という地域戦略の下、社内やグループ会社と連携し、地場企業並びに自治体等との新規ビジネス開拓に注力。
三井物産 中部支社 業務部 事業推進室長 兼 関西支社 国内事業開発室 馬場孝宣。1994年入社。入社以来、肥料原料のトレーディング、ディーゼルエンジン車より排出されるNOⅹ低減に使用するAdBlue®販売事業立ち上げ、ロンドン勤務等を経て、現在はものづくり集積地の中部圏で「カーボンニュートラル複合ソリューション提案」という地域戦略の下、社内やグループ会社と連携し、地場企業並びに自治体等との新規ビジネス開拓に注力。

バイオガスの利用により、食品廃棄物と処理コストの削減/再エネ利用によるエネルギーコスト削減/CO2排出削減が可能

――バイオガスの主な利用者と導入きっかけを教えてください。
野中 現在は、食品廃棄物に課題を抱える食品会社を中心に利用いただいています。自社工場から出る食品廃棄物からバイオガスを生成して利用すれば、食品廃棄物が削減されると同時に、廃棄コストを削減することができます。また、生成されたバイオガスは、再生可能エネルギーとして自家発電などに利用できますので、エネルギーコストの削減、さらにはCO2排出削減にもつながります。
三井物産 中部支社 業務部 事業推進室 野中利成。1992年入社。入社後、ICT事業本部にて、コンピュータ関連のhardware及びsoftwareの輸出入、IT関連ventureへの投資、三井情報への出向を経て、2020年に中部支社へ異動。ICT関連事業の中部地域での展開と共に、メタン発酵バイオガス発電事業の新規開拓を開始し、企業の食品廃棄物削減、CO2排出削減、資源循環の課題に対応すべく営業活動を推進。
三井物産 中部支社 業務部 事業推進室 野中利成。1992年入社。入社後、ICT事業本部にて、コンピュータ関連のhardware及びsoftwareの輸出入、IT関連ventureへの投資、三井情報への出向を経て、2020年に中部支社へ異動。ICT関連事業の中部地域での展開と共に、メタン発酵バイオガス発電事業の新規開拓を開始し、企業の食品廃棄物削減、CO2排出削減、資源循環の課題に対応すべく営業活動を推進。
――食品廃棄物の再生利用における現状を教えてください。
 事業系の食品廃棄物は年間で1,600万トン程度ありますが、再生利用の約60%は飼料化や肥料化で、バイオガスとして利用されるのはわずか3%程度です。バイオガスとしての再生利用は、まだ広く認知されていない状況にあると思います。
三井物産 中部支社 業務部 事業推進室 森恭代。1990年入社。入社後、化学品(PM本部)部門で、国内物流業務と輸出入業務を経験。その後、5年半の三井物産プラスチック(株)への出向を経て、2016年11月に業務部業務室へ異動し、支社長や部長の秘書業務を担当し、2022年2月より事業推進室へ異動し、バイオガス・水素関連の新規事業開拓を担当。
三井物産 中部支社 業務部 事業推進室 森恭代。1990年入社。入社後、化学品(PM本部)部門で、国内物流業務と輸出入業務を経験。その後、5年半の三井物産プラスチック(株)への出向を経て、2016年11月に業務部業務室へ異動し、支社長や部長の秘書業務を担当し、2022年2月より事業推進室へ異動し、バイオガス・水素関連の新規事業開拓を担当。
――バイオガス化のメリットを教えてください。
野中 バイオガス化のメリットは大きく4つあります。食品廃棄物をバイオガス施設で処理しますので、最終的な廃棄量が削減され、「廃棄処理費用の低減」が可能となります。また、ガス生成後に残る発酵残渣は堆肥や飼料として利用できる可能性もありますので、その部分では「資源循環」モデルが成立します。さらに、発生したバイオガスは「再生可能エネルギー」として発電などに利用することができ、「CO2排出削減」が可能となります。廃棄物処理に伴うCO2排出の削減や、化石燃料に代わる再生可能エネルギーの利用により、全体としてCO2排出を大きく低減することができるわけです。

5 トン/日の食品廃棄物をバイオガス化させることで、年間約200 t-CO2の削減が可能

――どれくらいのCO2排出削減が可能になるのでしょうか。
野中 食品工場のCO2削減目標は、一般的に年間1,000~2,000t-CO2(*1)の規模となりますが、5 トン/日の食品廃棄物をバイオガス化させれば、年間約200t-CO2ほどの削減効果を得ることができます。食品工場のCO2排出量の約10~20%がバイオガス化により削減可能となる計算です。
工場のCO2排出削減施策に多くみられる屋根置き太陽光発電では、屋根面積3,000㎡で、年間150t-CO2ほどの削減効果となりますので、それに比べて遜色のない削減効果が得られますし、太陽光発電を今以上に設置できない工場に、さらなるCO2排出削減施策を提供する意味でも有効なソリューションだと思います。
(*1)t-CO2:温室効果ガスにおける二酸化炭素1トンを意味する単位のこと。
――投資回収期間はどの程度で考えればよいのでしょうか。
野中 食品廃棄物を発酵させ、バイオガスを生成する施設を工場内に設置することになりますが、その投資回収期間は5~7年を目安としてご提案しています。当社が連携しているベンダーは効率よくガスを発生させる技術を持っており、経済合理性が合う施設のご提案が可能です。実際、バイオガスによる自家発電と廃棄処理費用の削減により、比較的短期間での投資回収をおこなえるケースも多くなっています。また、グループ会社と連携したリースへの対応や、政府や自治体の補助金取得もサポートしていますので、初期費用を抑えて導入いただくことも可能です。

原料となる食品廃棄物の種類によってガス発生量は変わる

――どの視点から見ても魅力的ですね。導入を検討する場合は、どのようなことを確認するのでしょう。
 まずは工場から出る食品廃棄物の種類と廃棄量を確認します。工場で取り扱う食品の種類と廃棄量によって、バイオガスの発生量とその安定性(ガスの発生量が安定的か、変動的か)が変わるためです。例えば、惣菜やお弁当のような混合系の食品廃棄物は安定的にガスを発生する傾向にあり、単品ではクッキーやせんべい等のお菓子系の一定量当りのガス発生量が多いのですが、原材料によってはガスが発生しにくかったり、より発生し易くするために前処理にコストが掛かったりします。
――各社、食品廃棄物の削減努力を進めているため、廃棄量は少なくなっているのではないでしょうか。
野中 おっしゃる通り、各社廃棄削減の努力をされていますので、食品廃棄物の量は少なくなってきています。そのため、食品工場向けには廃棄量に合わせてより小型な施設の導入が増えてきています。

限られた敷地にバイオガス施設を設置する 柔軟な設計が可能

――導入時の課題としてはどのようなものがありますか。
 バイオガス施設の設置スペースを確保する必要があります。理想としては、ごみ排出場所や排水処理施設の近くに、小型プラントで10m×17 m程度の設置場所が必要で、これを既存の工場敷地内に確保する必要があります。しかし、当室が取り扱うバイオガス施設は、ある程度の形状変更も含め、柔軟な配置・設計が可能です。
――改めて、バイオガス発電の仕組みを教えてください。
野中 まずは原料となる食品廃棄物に水を加え、含水率を90%以上に高めます。そこに熱を加え、攪拌することで発酵させます。これによって発生したバイオガスはタンクに貯留され、多くの場合、併設された発電機の燃料として使用されます。もちろん、ボイラーによる熱利用や、メタン濃度を高めてガスとして利用することも可能です。
――発酵残渣の再利用について教えてください。
野中 発酵後の残渣は、液体のまま液肥として使用するか、水分を抜いて固形化して肥料にする形で資源循環をさせることが可能です。

あらゆるお客様の課題を解決できるチーム力

――メタン発酵バイオガス発電事業において、三井物産の強みはどこにあるのでしょうか。
馬場 三井物産では、メタン発酵バイオガス発電事業のみならず、CO2排出量の可視化、太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーの導入、森林クレジットなどを活用したカーボンオフセットの取り組みなど、脱炭素に関する総合的なサポートをおこなっています。
中部支社の当室は12名の小さな組織ですが、さまざまなビジネスバックグラウンドを持つメンバーが三井物産グループと連携し、それぞれが脱炭素ソリューションを自分の言葉で語れる集団です。これを強みとして、自分たちが売りたいものを売るのではなく、お客様の経営課題を解決する、それに寄り添うスタンスで脱炭素化を支援することができます。
野中 このような背景から、自社のCO2排出量の算定、脱炭素ソリューションの調査、ベンダーの選定などはお客様自身が行うことが通常であるところ、三井物産では、本部横断及びグループ協働により、そのすべてを一手に引き受けることができます。
また、バイオガス施設ベンダーに対しては、三井物産グループの取引先へバイオガス施設を紹介する形で営業支援をおこなうのみならず、施設導入に向けた技術要件/スペック調整や、政府補助金の導入サポートなど、多面的な支援をおこなうことができます。

中小型のバイオガス施設が日本にフィットする

――バイオガス施設の現状や、海外の状況などを教えてください。
野中 海外、特に欧米でのバイオマスエネルギーは、エネルギー用穀物(非食用穀物)を大規模に生産して原料として活用する発想であり、中小型のバイオガス施設の商用活用は限定的です。日本は廃棄物を原料としてバイオマスエネルギーを得る発想であり、欧米に比べて規模は小さくなりますが、廃棄物削減の観点からも環境価値を高める重要な取り組みであると考えています。今後は、日本の資源循環の技術を、海外の大規模プロジェクトへ展開することも検討しています。
 国内でもバイオガス施設の数はまだ少ない現状ですが、経済合理性の高い中小型施設の開発や環境意識の高まりにより、食品会社を中心に多くの企業が関心を寄せています。
――今後、取り組んでみたい新しいサービスはありますか。
野中 バイオガスを生成する際には、メタンと同時にCO2が排出されますが、このCO2をメタン化する技術(メタネーション)も出てきています。このような新しい技術を積極的に取り入れながら、より効率的な資源化を図っていきたいと思います。
発酵残渣の資源循環の取組みについても、飼料化や肥料化だけでなく、炭化などの新たな技術を取り入れるなど、資源循環の観点での対応領域を広げていきたいと考えています。
――最後に、この事業を通じて叶えたい未来についてお聞かせください。
馬場 事業系の食品廃棄物は日本国内だけでも年間1,600万トンに上ります。この状況に対して、メタン発酵バイオガス発電事業を通じて食品廃棄物の削減・資源循環を進めると共に、三井物産グループの総合力を発揮して、各企業の脱炭素化を多面的にサポートしていければと思います。そのような活動を通して、日本や世界が抱える社会課題の解決に向けた後押しができればと考えています。
――本日はありがとうございました。
バイオガスをはじめとして、脱炭素化を総合的に支援します。まずはお気軽にご相談ください!

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