Green&Circular 脱炭素ソリューション

ソリューション再エネ

最終更新:2024.01.29

風力発電の仕組みをメリット・デメリットと合わせてわかりやすく解説

風力発電は、風の力で風車を回転させ、その力を電力に変換することで発電する方法です。

この記事では、風力発電の仕組みや、風力発電の種類、メリット・デメリット、導入状況などについてまとめます。

風力発電の仕組みとは?電気ができる流れを図で説明

風力発電とは、風の力を利用してプロペラを回し、発電する方法です。電力量あたりの発電コストが低いことなどから、再生可能エネルギーの中でも注目されている発電手段の一つです。
再生可能エネルギーの導入事例については「再生可能エネルギーを導入する企業が増加中!導入企業と再エネ発電企業を紹介!」をご覧ください。
風力発電機は、下の図のように、「塔体」「ナセル」「ブレード」と呼ばれる部分から構成されます。
ブレードが風を受けて回転すると、ナセル内にある増速器がギアで回転数を増やし、得られた回転のエネルギーを発電機が電力に変換します。発電機は、電磁誘導という現象を利用して回転エネルギーを電力に変換しています。

このように発電された電力は、電力ロスを減らすために変圧器で昇圧してから、送電線で使用地に届けられます。

風力発電の仕組みからわかるメリット・デメリット

ここでは、風力発電にはどのようなメリット・デメリットがあるのかを見ていきます。

メリット

風力発電は再生可能エネルギーに位置づけられ、エネルギー資源となる風は枯渇する心配がありません。

さらに、発電時に二酸化炭素や有害物質を排出しないクリーンエネルギーでもあり、環境負荷が小さいことがメリットとして挙げられます。
クリーンエネルギーには、ほかにも太陽光、水力、バイオマス、地熱などがありますが、風力発電は水力発電に次いで費用対効果が高い(1kWの発電にかかる費用が比較的安い)こと、風力発電で発電した電力は固定買取価格制度(FIT制度)が適用されるため売価が安定していることから、投資計画を立てやすく経済的なメリットを享受しやすいこともポイントです。

デメリット

風力発電には、自然エネルギーならではのデメリットも存在します。

例えば、風力発電では風向きや風速によって発電量が変わるため、発電量が安定しにくいというデメリットがあります。風が弱いとブレードが回転せずに発電が充分に行われなくなりますし、逆に暴風時には故障するリスクがあるため、発電を止めなければなりません。
また、風車は屋外に設置されるため、常に風雨にさらされています。そのため経年劣化しやすく、定期的なメンテナンスが必須となります。

さらには、ブレードが回転する際には低周波音が発生しますので、設置する際には、騒音など周辺環境への影響を気にかけなければなりません。
コスト面では、初期費用が高い点もネックです。費用対効果が高い点はメリットになりますが、初期費用の大きさはデメリットとなります。

風車本体のコストもかかりますが、大量の電力を発電するためには、複数機の風力発電設備を設置するための広い土地が必要であることから、土地の費用もかかります。

風力発電のデメリットを解消するための仕組み

風力発電では、風力発電の持つデメリットを補い、効率良く電気を生み出すために様々な工夫が施されています。

発電量が安定しないデメリットに対しては、「可変ピッチ機構」と「方位制御機構」により、風速や風向きに合わせて効率的な発電が行われるような工夫がされています。
プロペラは真正面から風を受けたときに最も効率よく力を伝達できます。そのため、プロペラの向きを「方位制御機構」により風向きに合わせています。

また、風の強さに応じて、プロペラの最適な回転速度(ピッチ)を「可変ピッチ機構」で制御しています。
可変ピッチ機構や方位制御機構を導入するにしても、風向きと風速が一定であるに越したことはありません。風車が受ける風の質は、設置場所の選定によって高めることが可能です。

土地の問題に対しては、洋上に発電設備を建設する取り組みが進められています。洋上風力発電について詳しくは後述します。
周辺環境への配慮に対しては、環境影響調査(環境アセスメント)も重要です。巨大な構造物が生み出す騒音や日照問題を避けることや、ブレード脱落といった事故による人命の損失を回避するため、入念な調査が行われます。

近年では、IoTなどの情報技術を活用して、近隣地域の電力使用量、気象情報、各部品が発する音などの情報を統合処理することで、より安全で効率的な事業運営が進められています。

風力発電の仕組みを、種類ごとに解説

ここでは、風力発電に使われる風車の種類や設置場所による違いについてまとめます。

設置場所ごとの風力発電の種類

風力発電機には、地上に設置する「陸上風力発電機」と、海上・湖上・港湾上等に設置する「洋上風力発電機」があります。洋上風力発電には、支持構造を海底に埋め込む「着床式」と、船舶のように海上に浮かべる「浮体式」があります。
洋上風力発電については「洋上風力発電とは?陸上風力発電との違いやメリット・デメリットを解説!」でも詳しく解説しています。
陸上では活用できる土地が限られる場合でも、洋上風力発電では沿岸(浮体式であれば沖合)にまで設置場所を広げることができます。これは他の再生可能エネルギーにない利点です。

洋上に設置する場合、騒音や事故のリスクが低くなるため、風車を大型化して大きな発電量を得ることができます。また、一般に、洋上は陸上に比べて風向きや風速が安定しているため、発電効率を高めることができます。
一方で、洋上風力発電の場合には、場所の都合上メンテナンスが難しいため、陸上型と比べて維持費が高くなります。

こうした背景から洋上風力発電設備のメンテナンス事業に対する需要が高まっています。これに対応する企業として、洋上風力発電設備のメンテナンスに特化したホライズン・オーシャン・マネジメント社などがあります。
洋上風力発電設備のメンテナンスについては、「洋上風力発電設備の点検・メンテナンス事業/ホライズン・オーシャン・マネジメント」を御覧ください。

風力発電に使われる風車の種類

風力発電で使われる風車は、風向きに対してブレードの回転軸が平行(地面に水平)に設置されている「水平軸風車」、風向きとブレードの回転軸が垂直(地面と垂直)に設置されている「垂直軸風車」の2種類に分けられます。
水平軸風車
水平軸風車にはプロペラ形、オランダ形、多翼形、セイル形などがあります。

一般に、水平軸風車は、特定の方向から風を受けられるように風車の設置方角が調整されているため、多方面からの風には対応できません。しかし、構造が単純で大型化しやすく、大きな発電量が期待できます。

システム全体の効率を重視する風力発電では、水平型風車が主流です。
垂直軸風車
垂直軸風車にはダリウス型、バドル型、サボニウス型、S字ロータ型などがあります。

垂直型風車のブレードは風向きによらず一定の発電量を得られるように設計されています。しかし、風向きや風速が一定の場合の発電効率は水平軸型に及びません。

近年では、渦励振という現象を利用して塔型の風力発電機を振動させ、振動を利用して発電するブレードレスの発電方法も開発されています。

日本における風力発電の導入状況

二酸化炭素排出量削減に向け、世界的に再生可能エネルギーの導入が進められています。

国際エネルギー機関(IEA)の再生可能エネルギー導入予測によると、2040年には、再生可能エネルギーの40%の発電設備容量を風力発電が担うとされています。
再生可能エネルギーの中で、風力発電は太陽光発電に次ぐ発電規模であり、世界全体での風力発電導入量(2021年)は年間930万kW、累計8400万kWです。

日本では2021年の1年間で14万kWの風力発電が導入され、日本国内の累計導入量は458万kWになりました。
このように、日本でも風力発電の普及が進んでいますが、2021年の日本国内の発電量全体に占める風力発電の割合は、0.87%に留まっています。また、2021年の日本の風力発電導入量は、全世界の風力発電導入量の約1.5%(=14万kW / 930万kW)程度です。
日本風力発電協会 日本の風力発電導入数 資料より
この記事では、風力発電の仕組みや種類、メリット・デメリットなどについてまとめました。

風力発電は、再生可能エネルギーの中でも水力に次いで発電効率がよく、世界的に導入が進められています。

今後、さらなる風力発電の導入が期待されます。

関連ソリューション

関連する記事

ご質問やご相談など、
お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせフォームはこちら