Green&Circular 脱炭素ソリューション

ソリューション可視化

最終更新:2023.10.24

味の素×Earth hacksが推進するフードロス削減の世の中ごと化

従来品と比べた商品のCO2排出削減率を可視化するEarth hacksの「デカボスコア」。味の素では、フードロス削減レシピをデカボスコアと共に生活者に提供し、家庭でのフードロス削減に取り組んでいます。同社が取り組むフードロス削減の意義や将来の展望について、デカボスコアの有効性も交えて、味の素の淡川彩子さん、Earth hacksの関根澄人さんにお話を伺いました。

味の素では、食材を余すことなく使用するフードロス削減の取り組みとして、「捨てたもんじゃない!™」レシピを生活者に提供しています。同レシピには、Earth hacksが提供する「デカボスコア」も表示されており、生活者は自らの環境貢献を実感しながら、無理なく楽しみながらフードロスの削減に取り組むことができます。味の素はこの取り組みを通して、フードロスの削減を世の中ごと化することを目指しています。

フードロス削減の取組みを家庭に広げていくために

──味の素におけるフードロス削減の取り組みについてお聞かせください。
淡川 フードロスには、賞味期限切れなどを理由に食材を捨てる、食べ残しを捨てる、食材の一部(野菜/果物の皮や茎など)を食べずに捨てるといったものがあります。弊社では、製品を製造する過程で食材を丸ごと活かし切る工夫をしてきました。
例えば、調味料「ほんだし®」はカツオを主原料としますが、「ほんだし®」に使われないカツオの頭や内臓は魚醤や調味料に、骨はカルシウム食品の「毎日カルシウム・ほんだし®」に利用するなど、カツオを余すところなく利用し、フードロスを削減しています。
味の素株式会社 調味料事業部 淡川彩子食のおいしさと楽しさを通じて、人々の生活を豊かにしていきたいという想いから、味の素に入社。入社後は営業や海外広報、オウンドメディア運営を経験した後、2022年8月からグローバルな環境の課題解決に向けて、味の素グループのフードロス削減ブランド「TOO GOOD TO WASTE ~捨てたもんじゃない!~™」の立ち上げとブランディングを担当。
味の素株式会社 調味料事業部 淡川彩子
食のおいしさと楽しさを通じて、人々の生活を豊かにしていきたいという想いから、味の素に入社。入社後は営業や海外広報、オウンドメディア運営を経験した後、2022年8月からグローバルな環境の課題解決に向けて、味の素グループのフードロス削減ブランド「TOO GOOD TO WASTE ~捨てたもんじゃない!~™」の立ち上げとブランディングを担当。
──そのようなフードロス削減の取り組みが対外発信されているのでしょうか?
淡川 社会的にSDGsの意識が高まる中、このような事業側でのフードロス削減の工夫を広く知っていただくことと、これまで蓄積されてきた知見を活かし、家庭でも実践できるレシピを開発することで家庭内のフードロス削減も推進したい思いから、2022年の8月に「捨てたもんじゃない!™」ブランドを立ち上げ、自社メディア「AJINOMOTO PARK」を中心に積極的な情報発信を開始しました。
──フードロス削減に向けて、重視されていることは何ですか。
淡川 あまり知られていませんが、日本のフードロスは約半分が家庭内で発生しています。また、世界規模で見るとフードロスによって排出されるCO2は、自家用車の利用による排出量に匹敵します。つまり脱炭素化の観点からは、家庭におけるフードロスを軽視することはできず、脱炭素化に向けた取り組みに二の足を踏む消費者に向け、いかにフードロス削減に取り組んでいただけるかが重要だと考えています。

このような観点から、弊社に蓄積された料理に関するテクニックやレシピ、アイデアを生活者のみなさまに提供し、家庭でおいしい食事を楽しみながら、フードロス削減も進めることを目標としています。

生活者に環境貢献への実感を与える「デカボスコア」

──「捨てたもんじゃない!™」レシピに「デカボスコア」を表示するに至った経緯を教えてください。
淡川 「捨てたもんじゃない!™」ブランドを立ち上げ、その良さを生活者に分かりやすく伝える方法を検討する中で、博報堂と三井物産の共同プロジェクトであるEarth hacksの取り組みを知りました。そこで用いられていた「デカボスコア」は、レシピを実践した際のCO2削減量を明確に数値で確認することができ、それを見た生活者が環境に良いことを体感し、「ちょっと嬉しい気分」になれる非常に良い指標だと感じました。

レシピの違いによるCO2排出量を算出できるのか、当時はまだ前例がありませんでしたが、その算出基準からEarth hacksと共に考え、結果として弊社は食品メーカーとして初めて「デカボスコア」を採用しました。
「AJINOMOTO PARK」に掲載されている「捨てたもんじゃない!™」レシピより
「AJINOMOTO PARK」に掲載されている「捨てたもんじゃない!™」レシピより
──フードロス削減によるCO2排出削減量の算出方法はどのようなものでしょう。
関根 食品を廃棄すると、その多くは焼却処分されるためCO2が排出されます。逆に、余った食材や、食さずに捨てられる部分、例えば野菜/果物の種皮や茎を廃棄せずに食材として利用すれば、その廃棄にかかる分のCO2排出量が削減されます。また、新たな食材を購入すれば、その流通過程で排出されるCO2(いわゆるサプライチェーン排出量)もありますので、その差分をCO2排出削減率として計算しています。考慮しているのは、主に食材の調達と廃棄に係るCO2排出量ということです。
Earth hacks株式会社 代表取締役社長 CEO 関根澄人東京工業大学大学院生命理工学研究科修了。学生時代に細胞学を研究しながら、生物多様性や地球温暖化など環境問題を伝えていくことを仕事にしたいと思い、博報堂に入社。入社後は営業としてさまざまな企業のブランディングなどを担当し、博報堂従業員組合の中央執行委員長を経て、2020年から3年間三井物産に出向。2023年にEarth hacks株式会社設立。
Earth hacks株式会社 代表取締役社長 CEO 関根澄人
東京工業大学大学院生命理工学研究科修了。学生時代に細胞学を研究しながら、生物多様性や地球温暖化など環境問題を伝えていくことを仕事にしたいと思い、博報堂に入社。入社後は営業としてさまざまな企業のブランディングなどを担当し、博報堂従業員組合の中央執行委員長を経て、2020年から3年間三井物産に出向。2023年にEarth hacks株式会社設立。
──「デカボスコア」は、CO2削減量ではなく、削減率を表示しているところがユニークですね。
関根 多くの人にとって、「CO2を1トン削減」よりも「CO2を40%削減」のほうがそのインパクトを理解しやすく、モノやサービスを選択する基準とすることができます。セール品80%オフ、アルコール飲料糖質20%オフといった具合です。さらには、日本のCO2排出削減目標は「2030年にCO2排出量46%減(2013年比)」と割合で示されており、これにどの程度貢献したか/できるかを測る意味では、同じ割合表示が分かりやすいと思います。
淡川 インパクトが分かると、生活者が自身の行動によってどの程度CO2の排出削減に貢献できたのか、その実感が得られることが大きいと思います。デカボスコアの導入によって、レシピを実践することで「自らの行動」(≠商品)がCO2削減に貢献していることを実感いただけるようになり、「ちょっと嬉しい気分」でレシピを実践し、料理や食事を楽しんでいただけるのではと思っています。
──デカボスコアも表示されている「捨てたもんじゃない!™」レシピですが、読者からの反応はいかがでしょうか。
淡川 おかげさまで、「捨てたもんじゃない!™」サイトへのアクセス数も増加しており、想定以上に良い反響をいただいています。弊社からの一方的なレシピ公開のみではなく、フードロス削減に繋がるレシピをユーザー側からも公開頂いたり、楽しみながらフードロスを削減する良い流れが出来ていると思います。

当たり前を環境貢献に、環境貢献を当たり前に

──環境貢献というと少し重く感じますが、楽しくフードロス削減に取り組めるのは良いですね。
関根 「環境のために」「CO2削減のために」と構えてしまうと、生活者は代わりに何かを我慢しなければならない、そのコストを負担したくないなどと思いがちです。しかしながら、味の素が古くから製品の製造過程でフードロス削減の工夫をおこなっていたように、事業者が意識せずにおこなってきた環境貢献は多くあります。Earth hacksでは、これを繋げ、当たり前のことが環境貢献に繋がっていると気付いていただくことが大切だと思っています。
──当たり前のことが環境貢献に繋がっている、そのようなことは多くあるのでしょうか。
関根 事業者の例では、今治タオルではその原料にオーガニックコットンが使用されているものがあります。これは商品の品質を高めると同時に、環境にも配慮された取り組みの一つです。これまではPRされていなかったこの取り組みを「デカボスコア」を通して可視化し、その環境価値を生活者に伝えることで、タオルの売上が2倍近くに向上したという例があります。
環境問題に「取り組んでいます」だけではその価値が伝わりにくいところ、デカボスコアを通してCO2削減率を明示することで、これまでの当たり前の取り組みに価値が見出された事例だと思います。
──これまでの当たり前を改めて見直すことで、さまざまな環境貢献が見出せそうですね。
関根 実は、日本の「食」から排出されるCO2の量は欧米の半分程度です。日本の食生活そのものが、環境に優しいということですね。また、「もったいない」が世界共通の言葉になったように、一つのものを長く使うだけでも廃棄にかかるCO2排出量が削減されますので、立派な環境貢献です。このように、日本人らしい生活をするだけで、一定の環境貢献をしていると捉えることもでき、このような当たり前のことに気づき、生活者に「もっとやろうかな」と思っていただくことが大切です。

「捨てたもんじゃない!™」テクニックやアイデアが「我が家の味」と共に受け継がれる未来

──環境貢献を当たり前にしていく、そのためにできることは何でしょうか。
淡川 弊社の立場としては、生活の中でフードロス削減が自然に取り入れられている状態を目指したいと考えています。家庭で慣れ親しんだ「我が家の味」と共に、「捨てたもんじゃない!™」テクニックやアイデアが受け継がれ、今の子世代が将来料理をするようになったときに自然に実践ができている状態が理想的だと思います。食育的な観点も含めて、いずれフードロスの削減が当たり前になっていく、そのような社会を実現していきたいと思います。
関根 いいですね「我が家の味」。これに「捨てたもんじゃない!™」のテクニックやアイデアが加わり、フードロスがないという環境価値が加わる。それぞれの「我が家の味」がそういった形で発展的に受け継がれ、将来のフードロスがなくなっていく未来が、今のお話から想像できました。
淡川 味の素グループとしてのCO2排出削減目標は、2025年に原料受入から納品までで50%削減、2050年に製品ライフサイクル全体で50%削減(2018年比)です。製品ライフサイクル全体で排出削減するためには、家庭におけるフードロス削減が不可欠です。「捨てたもんじゃない!™」レシピを中心にこれを支え、ひいてはフードロス削減が生活の中で自然と取り入れられるように、これまで以上に取り組んでいきたいと思います。
──本日はありがとうございました。
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